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ダゲレオタイプの歴史

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ダゲレオタイプのもっとも大きな特徴は、ポジティブ画像をダイレクトに得る写真技術であるという点である。アメリカ大陸では、家族の肖像写真をダゲレオタイプで撮影したものが多く残っている。後に湿板写真法が発明されヨーロッパ大陸ではダゲレオタイプが駆逐された後においても、アメリカではしばらくダゲレオタイプによる肖像写真が好まれており残ることとなった。

ダゲレオタイプの歴史

 

カメラ・オブスクラの画像を固定して残そうとする試みは18世紀末以降さまざまに行われてきた。最も早く発表されたのは1802年発表のトーマス・ウェッジウッドによる硝酸銀を用いた方法だが、彼は得られた画像を定着する方法にはたどり着いていない。

ダゲレオタイプの発明に直接つながる動きとしては、ダゲレオタイプ発明のもう一人の立役者であるニセフォール・ニエプスがカメラオブスクラの画像を固定するヘリオグラフィを1824年に開発している。これは、ピューター板(鉛とすずの合金。後には銀メッキ銅板も使用)の上にアスファルトを塗ったものを感光剤として使う方法である。このヘリオグラフィこそが世界最初の写真技法だといえるのだが、露光時間が日中の屋外でも8時間もかかるなど、とても実用的とはいえないものであった。

パノラマ館やジオラマ館などの光学技術を用いた興行を行っていたダゲールは、1824年前後から独自に写真の研究をはじめていた。ダゲールは、カメラ・オブスクラなどの光学機器を購入していたシャヴァリエ店のシャルル・シャヴァリエからニエプスの成功を知らされる。ダゲールは1829年12月14日にニエプスと共同研究を行う契約を結んだ。これによって、ダゲールはニエプスの発明の詳細を知ることができた。

ヘリオグラフィとダゲレオタイプはその原理の面から見ればほとんど別物といっていい写真技法である。しかし、銀板やヨウ素を使うこと、現像というプロセスのアイディアなどヘリオグラフィからダゲレオタイプに引き継がれた要素も多い。

始めの契約では完成した写真技法にはニエプス、ダゲール両名の名前を残すことになっていた。共同研究の途上で、ニエプスは死亡し共同研究のパートナーはその息子イジドール・ニエプスに引き継がれた。その後の契約変更でニエプスの名は残されないこととなった。

ダゲレオタイプを完成させたダゲールは、自分の発明に箔をつけるため物理学者のフランソワ・アラゴーなど、当時高名だった科学者・芸術家にダゲレオタイプを見せている。アラゴーはこの発明を世界に公開するというアイディアを思いつき、そのために特許をフランス政府が買い取り、ダゲールと、イジドール・ニエプスに年金を支払うように働きかけた。そして、この提案は実現し、ダゲレオタイプは誰もが使えるものとなった。

1839年8月11日、フランス学士院科学アカデミーの定例会において芸術アカデミーとの共催によりダゲレオタイプに関する公開講演が行われた。講演者はフランソワ・アラゴーである。ここで、ダゲレオタイプのすべてが公開された。

ダゲレオタイプ発表当時、すでにカメラ・オブスクラの画像を固定する技術はいくつか存在した。たとえば現代につながるネガ=ポジ法の創始者であるタルボットは、カロタイプをダゲールの発明以前に完成していたと主張している。しかし、ダゲレオタイプは圧倒的に高精細であり、またフランス政府が特許を買い上げたことも有って、瞬く間にヨーロッパ・アメリカに普及した。

ジルー商会から発売された最初の市販ダゲレオタイプカメラ(ジルー・ダゲレオタイプ)は、シャルル・シャヴァリエ製作の色消しメニスカス・レンズを使っていたが、これはF17程度の非常に暗いレンズであり、露光時間はパリの日中で10〜20分程度かかったとされる。この露光時間に対するレンズの明るさの面からの改良として、ウィーン大学のペッツバール教授が開発したペッツバール・レンズを搭載した金属性カメラ、フォクトレンダー・ダゲレオタイプがフォクトレンダー社から1841年に発売されている。フォクトレンダー・ダゲレオタイプのペッツバール・レンズはF3.7と現代のレンズにも引けを取らない明るさを持ち、露光時間の短縮におおきく貢献した。また、感光材料の面からも改良が加えられ、銀板をヨウ素蒸気にさらすさいに臭素を加えるゴッダード法の開発等により感度をアップさせることができた。

アメリカ大陸では、家族の肖像写真をダゲレオタイプで撮影したものが多く残っている。後に湿板写真法が発明されヨーロッパ大陸ではダゲレオタイプが駆逐された後においても、アメリカではしばらくダゲレオタイプによる肖像写真が好まれており残ることとなった。

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